編集後記(2024年8月)
▼前期昇段級試験で同人と師範になられた方々、また教育部で優秀作品に選ばれた方々の感想をいただきました。書は深遠な世界で、「行けども行けども青い山」のような気持ちになりますが、同人認定は一つの山。一歩一歩を踏みしめて歩いてきた方々に、心からの敬意を表したいと思います。地味な書と思われがちですが、筆で書いた者だけにしかわからない書の面白さや快さを会得されています。
▼書だけではなく芸術全て、あるいはどんな分野でも当てはまるかもしれませんが、書は自分を見つめて自分の精度を高める一つの手段でもありましょう。葛飾北斎は90歳の時、あと10年、いや5年の命を与えられゝば、本物の絵描きになることができるのに、と亡くなる瞬間まで絵を描きたいと願ったそうです。
▼教育部の中学・高校生の方々に書いて頂いた感想では、筆を持ちお習字から書への興味を深められた方々の言葉には、力があると感じました。それはご自分の考えや思いを深く持っているからでしょう。
▼「思考はいつか言葉になる。言葉はいつか行動になる。行動はいつか習慣になる。習慣はいつか性格になる。性格はいつか運命になる」という言葉が浮かんできます。自分の思考を持ち、こうありたいと願う人間性に近づこうとする真摯な姿に、心を打たれました。
(神原藍)