墨成
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『僕の前に道はない 僕の前に道は出来る』高村光太郎
138×138㎝ 2022年3月

『それでも人生にイエスと言う』Ⅴ・E・フランクル
90×180㎝ 2022年1月

めでたさは おらの肚ぐあい

おらが決めた 中くらい

おらが春は おら次第

めでたい春は おらの心の おらの春

『めでたさも中くらい也おらが春』 小林一茶
34.5×69㎝ 2021年12月


  • image01
    「赫々 琴線に触れ」
    156×180㎝
    赫々と、今を生きようとする命が鼓動する。鼓動する心は琴線に触れる。
  • image02
    「郷 太郎を眠らせ 太郎の屋根に雪降りつむ 次郎を眠らせ 次郎の屋根に雪降りつむ」(三好達治)
    雅仙紙 60×97cm
    雪の重さと厳しさ、そして温かさと静けさ。
    豪雪地帯の雪は美しい幻想的なものだけでは捉えられない 重いものがある。
    一方、我が心中に宿るシタタカさは、雪の重力に育てられたものかもしれない。
  • image03
    「かなしみを さみしさを 聴」
    (2019年)
    苦悩の陰にかなしみが見え、怒りの陰にさみしさが潜んでいる。
    かなしみの中の苦悩、さみしさを爆発させた怒り。
    誇り高く繊細な人間のいのちの鼓動を聴く。
    墨が虚白を測り合うように。
  • image04
    「棲 山のあなたの空遠く 幸いすむと人のいう」(カールブッセ 上田敏訳)
    60×240㎝ 2016年
    東北の盆地に育った私は、あの山を越えなければ将来はない、と思い込んでいた。
    棲んで耕し続けてこそ幸いは見えてくる、と今なら言える。
  • image05
    「瓦礫跡 水仙咲きて」
    90×180㎝ 2011年
    2011年3.11の東日本大震災は未曾有の大津波と火災によって、膨大な災害が発生した。
    大自然の脅威でもあったが、瓦礫の間から水仙が芽を出し、花が咲いた。
    大自然の中の可憐な自然。
    人類は理性で克服しなければ、と水仙の黄色の花に教えられる。
  • image06
    「在その1 淡墨の在」
    「人は女に生まれるのではない。女になるのだ。」(ボーヴォワール)
    女であることを意識的に強調はしない。
    しかし無意識に、女であることに気づくのだ。
    包容力のある在をめざして。
  • image07
    「在その2 濃墨の在」
    切り込むような存在でありたい。
    斬新でありたいという願いを込めて。
  • image08
    いのち茫々 90×180㎝ 1992
  • image09
    一瞬を捉え 87×62㎝ 2021.8

    豪快さと繊細さを併せ持つ鍛えた身体
    豪快な技は己との闘いから生まれ
    繊細な感性は、限界を越えようとする魂から溢れ出る
    極限と闘うアスリートは、
    やがて、恐怖と無知と憎悪に溺れかけた人の心に光を射し
    人間の尊厳を目覚めさせる
    この一瞬を捉えて

    (書と文 神原藍)

  • image10
    一瞬を捉え 87×62㎝ 2021.8

    豪快さと繊細さを併せ持つ鍛えた身体
    豪快な技は己との闘いから生まれ
    繊細な感性は、限界を越えようとする魂から溢れ出る
    極限と闘うアスリートは、
    やがて、恐怖と無知と憎悪に溺れかけた人の心に光を射し
    人間の尊厳を目覚めさせる
    この一瞬を捉えて

    (書と文 神原藍)

  • image11
    竹林や百度の杜(もり)に風光る
    120 × 120.5㎝ 2021

    竹林や百度の杜に風光る
    縮こまった身と心
    解放せよと緑の中に歩を進める

    竹と雑木の杜の中には
    苔むした百度石がひっそりと佇み
    小さな社(やしろ)が埋もれるように建っていた
    聞けば一千年前からの社という
    扉の奥には産土(うぶすな)が鎮座して
    弱き小さな者のかなしみを聞き
    よろこびと感謝に頷いてきたのだろうか

    こんもりとした杜の中を
    光を孕んだ風がそよぐ

    竹は縦に縦にと空を突き
    風は横に横にと杜を流れる

  • image12
    真直(まっすぐ)な道でさみしい(山頭火)
    180 × 45㎝ 2021.10

    この道はあまりにも真直ぐなのだ
    真心に触れ、あつい愛を知り
    ひとりの人としての覚悟を決めた
    唯々、信じる心に誠実に生きる
    マグマのように吹き出す想いを抱え
    かなしみやさみしさを焚いて

    自由と人権を求める魂は
    多くの侮辱を飲み込み
    喧噪を鎮める純粋さを宿している
    深く、温かく、強かに

    それは何にも代えがたい優しい威厳
    誰にもできない尊い決断
    内からにじみ出る気品と気高さは
    一層の輝きを放っている

  • image13
    畢竟 意志の問題 
    69 × 138㎝ 2021.11. (書と文 神原藍)

    思いっきり打ち  力いっぱい投げ   一生懸命に走る

    どこまでも純粋を貫いて  どこまでも純粋に高みを目指し  真摯に、誠実に

    驕らず、卑下もせず  妬みも、軽蔑もしない  唯々まっすぐに自分と向き合う

    心と体が一つになって、一生懸命が快よく  頑張れる土壌がありがたい  頑張る自分が愉しい

    全てが強い意志から生まれ  人間の営みの偉大さを見せた  畢竟 意志の問題

  • image14
    「極・光ひとすじ」
    130×150cm(2021年)
神原藍写真

神原藍(次子)
山形県米沢市生まれ。石澤煌峰・国井誠海に師事。毎日展・産経国際書展、各入選・入賞。東洋書人連合主催ロサンゼルス・北京・ブリュッセル・ソウル・ニューヨーク・メキシコ展等出品。
▼1986年新春三人展(原宿ギャラリー)▼1991年個展「おなごへの旅立ち」(鳩居堂)▼1993年よりフリー▼1994年個展「万葉ファンタジー」(鳩居堂)▼2003年日米合同選抜展(鳩居堂)主催 ▼2015年「陶と書 二人展」(ブルーメンハウス)▼2017年「書の仲間たち展2017」ナセBA 
作品集『神原次子書展』『神原藍書展作品集』
1989年より月刊書道誌『墨成』創刊、現在に至る。


神原藍 編集後記