墨成

編集後記(2021年2月)

▼墨成新春展にはコロナ禍の中にも拘わらず、墨成会員の殆どの方々が出品されました。人が自分の心を見失わず、尊厳を保ち、人間として現実を生きてゆこうとする時、文化の果たす役割は目には見えな いけれども、とてつもなく大きいと考えます。

▼しかし、米国書道研究会の作品がEMS 便でメキシコに運ばれてしまい、努力の結晶がどこかの倉庫に眠っている現状をしっかりと見なければなりません。世の中は甘くはありません。甘くないどころか、努力の一割が報いられれば良い方だとさえ思います。

▼やはり、歪が起きているのです。垣間見た分断された社会。民主主義が脅かされ、群集心理が起したというよりも蓄積した鬱憤があの暴動を引き起こしたのでは、精神的にも虐げられているのではないか、と考え込んでしまいました。今時点で全世界のコロナ感染者が9,900 万人を超える数字も他人ごとではありません。

▼今回、米書研からの新春展・書初め作品が未到着のまま審査させて頂きました。作品が着き次第、新春展作品集を編み、米書研の方々の作品を特集させて頂きます。

▼翻って、高校生、中学生の作品には驚きました。義務感ではなく自発的に継続して筆を持っている方々の情熱に感激しました。豊かさは経済だけでは量れません。文化の意義を考えさせられます。(神原藍)