墨成

編集後記(2025年10月)

▼生田博子先生が席上揮毫された言葉「夢はやがて輝きに変る」は、博子先生の六十年の歩みを表現されました。カリフォルニア州知事、ロサンゼルス市長、マスコミ、領事館、国際交流基金、ジャパンハウス、商工会議所等、政財界からの賛辞を得られる書家を他に知りません。博子先生の輝きは、私達の想像を超える意志と努力の結晶でありましょう。

▼博子先生からは展示作品、祝辞と顔写真、テープカット、祝宴でのスピーチ、席上揮毫の依頼のお手紙を頂きました。細やかな文字に寛容さと強靭な御意志を感じ、墨成九月号も持参したい、とあたふたしながら準備をしたつもりでした。

▼アメリカという大国の光と影は、書斎に籠りきりの目には強烈に映りました。タフに美しい所作で働く人々の反面、路上に横たわっている人、夜通し聞こえるパトカーの音。大河の激しい流れの傍流には、付いてゆけない淀みがあり、繊細な感性を持ちながらダイナミックに生きることの厳しさを肌で感じました。

▼実行委員長の山本宗治さんは、今回の大舞台を取り仕切られ、誇り高く生きておられ、書を通して海を隔てても心が通じるように感じます。という私は壇上でのスピーチは上ってしまい、大河の流れに飲み込まれてしまいました。空海を学んでも空海にはなれない凡人の至らなさを痛感、準備不足でした。

(神原藍)