墨成

編集後記(2025年8月)

▼米国書道研究会六十周年記念展並びに生田観周先生生誕百年記念展がアメリカ、ロサンゼルスの日米文化会館で開催されます。六十年間という長い年月を、奇跡ともいえる偉業を成し遂げられた生田観周・博子両先生に心からの敬意を表します。観周先生が遷化(せんげ)されてからの博子先生は、一層会員の方々の心に深く寄り添われ、会員の方々は文化人としての誇りと矜持を持って書と向き合って来られました。

▼振り返れば『墨成』は観周先生の温かい励ましで育てられたものでした。至らないことの多い私に、「若いけれども、お婆さんのような気持ちで墨成を編集し発行してゆきなさい」と観周先生は励まして下さいました。伝統書とは何か、現代書とは何かと問い続け、山のように積み重なる課題を前に、単なる競書誌にしたくはない、と墨成の在りようを探り続ける原動力ともなりました。何が書の真髄かを探る歳月でした。

▼博子先生はいつもささやかな墨成の企画にも全力で応援して下さり、門人の方々全員の参加を呼びかけて下さいました。それは、先生と会員の方々の師弟間のリスペクトと篤い信頼関係に依るものと思います。

▼書は人に力を与えるばかりではなく、人と人を結びつけます。限りない叡智と慈しみの心を養う書の力と共に感謝するばかりです。

(神原藍)