
編集後記(2025年12月)
▼後期昇段級試験で、同人と師範合格の方々、教育部で優秀作に選ばれた方々からレポートを書いて頂きました。小学四年生の駒林和真君の感想には勇気づけられました。お習字の面白さや書の真実を書いています。和真君は、筆字は柔らかな線も強い線も、細い線も太い線も、力の入れ方や書く速さでいろんな線が表れてくることを自ら学んでいます。集中して書く緊張感や教室の様子までが伝わってきます。
▼準師範以上の試験には教育部の手本も課題になります。簡単なように思われますが、実は難しく、線状の深浅さが一目で分かります。小中学生の手本は誰にでも読めて書けるからです。強く美しい線を醸し出すには、肥沃な土壌を造ることにも似ています。昭和初期、昭和の三筆とも称賛された鈴木翠軒先生は、文部省の国定教科書を書く際に古筆や良寛の書を参考にしました。神経衰弱になるほど打込んだと言われます。
▼「書がほんとにわかれば、おのずと人生の機構そのものさえ見ぬいてしまう力を持っている。だから書のことしかわからないというのは、理解がまだ浅いからである。」と書の極致を高村光太郎は著しています。
▼何百年、何千年と経っても生き続けている古典は後世の私たちの書の指標となっています。と同時に生きる指標にもなっています。
(神原藍)