
編集後記(2025年2月)
▼果たして作品は集まるのだろうかという不安は、杞憂に帰した。新春展には精魂を込めた作品が寄せられ、書初め展には意欲的な作品が寄せられた。作品は観られて初めて作品になるといわれる。
▼墨成大賞に選ばれた杉山和代同人「安穏」は筆を十分に働かせ、潤筆と渇筆、深い線とシャープな線が相まって、観る者を惹きつける。古典研究が中心の墨成の歩みと共に努力を重ね、作品「安穏」に昇華された。育児・介護・仕事と格闘されてきた杉山同人の書き手の人生そのものが、顕れている。人生を深められ、技術を磨いてきた成果であると思う。
▼準大賞の藤井藹子同人の「一輪の花の真 生命のよろこびを悔なく輝かせて咲く」。言葉と共に堅実な筆と流れが観る者を惹きつける。言葉は言霊。真を捉えた言葉は現代人の私達に直截に訴える。悔いなく咲かせよと自らを励ましながら、観る者にも訴え、馥郁とした品格を散りばめた。藹子同人の真摯な人格が淡々と反映された作品であると思う。
▼隨念桐花同人の作品は42×210㎝横の大作。日本伝統の仮名の書を、余白を取り入れた構成で潤滑をつけた伸びやかな線条が美しい。現代の短歌も朗々と詠う調べを聴くと、高みに引き上げられる。和歌は神への祈りでもあった。
▼作品集だけで終わるのは実に勿体ない。(神原藍)