墨成

編集後記(2019年7月)

▼文字を書くことは、人間が元来持っている本能にも近いと思っています。身体から湧き出てくる思いを形にする。心の中を映し出す。それは文字を知る人間としての特権のようにも思われます。

▼今年四月に中学二年生になった澁川君は「自律」という言葉を書きました。きっと澁川君は「自分を律していこう」と考えているのでしょう。 遠い昔に中学生だった私にとっても、あの時を振り返ると、未来は希望に溢れていました。

▼灰谷健次郎は「どの子にもピカリと光るものがある」という言葉を残しました。彼は『兎の眼』『太陽の子』などの小説を書いた児童文学作家です。人それぞれが持っている可能性は、感性が豊かな中学生だからこそ、見つめられます。

▼それには、何か自分の大好きなもの、スポーツでも学科でも習字でも、自分が夢中になれる大好きなものを見つける。やると決めたらとことん打ち込む。例え少々躓(つまず)いても人のせいにはしない。そして得意なものにする。得意なものは自信になります。ピカリと光らせるのです。

▼日々の努力を日記に書いて記録をすれば、自分でも成長を確かめることが出来ます。光るものは自己を肯定することに繋がり、自律は自立に繋がります。未来は大きく広がってゆくのではないでしょうか。

(神原藍)