墨成

編集後記(2019年4月)

▼いじめや虐待などの重苦しい事件が相次いで、心が震えて来る。まだ小学生、中学生、高校生の未熟な成長の段階で、教育者の暴言・暴力は何とも痛ましい。愛情を受けて当然の子どもや、権力を持つ人の悪意には、弱いものは何も抵抗できない。

▼世の中のどんな組織でも、まっとうな人間とまっとうでない人間に分かれるという。自分より弱い立場のものに暴言や暴力をふるう人は、自分で自分の感情を押さえ切れない、実は弱い人間ではないだろうか。根底には自分自身に対しての焦りや劣等感、心の奥底にある嫉妬心に押しつぶされているのかもしれない。不安でいたたまれないのだ。不安は魂を食いつぶすというが、魂を失ったまっとうでない人間が、まっとうな人間に牙を向けているのだ。

▼誰でもが不安を持ち、そして、劣等感は弱い自分を奮起させる起爆剤にもなりえる。まっとうな人間は時間を味方にして力を蓄え、自分とまっとうな人間の存在を信じることだ。

▼植物の生態系では、捕食、中立、競争、相互依存、相互共生、片側共生、規制と呼ばれる基本的な相互関係があるという。共存が不可能な場合は、食い分け、棲み分けが行われるそうだ。まっとうな人間はまっとうでない人間を相手にせず、棲み分けることだ。夢中になれる自分の世界をつくることだと思う。

(神原藍)